複式簿記のつけ方のうち、固定資産と減価償却の会計処理。車を購入したときの減価償却の方法を具体的に説明。個人事業主(フリーランス)として青色申告する時の「少額減価償却資産の特例」や「一括償却資産」も説明。
固定資産と減価償却の会計処理
固定資産
- 固定資産を購入したときの処理方法:資産計上
- 「【その他】固定資産を購入した場合」
- 「固定資産を取得したとき 」
- 固定資産とは、「使用し始めてから何年かにわたって分割して費用として計上」するもの
- 固定資産台帳
- 「固定資産台帳とは?書き方や見方を分かりやすく解説」
- 固定資産台帳には法律で定められたフォーマットはない。
- 「固定資産台帳(エクセルテンプレート)作成方法を詳しく解説」から、フォーマットを無料でダウンロード可能
- 「固定資産台帳とは?書き方や見方を分かりやすく解説」
減価償却
- 減価償却
- 「減価償却とは?耐用年数や定率法・定額法の計算方法をわかりやすく解説」
- ◎中小企業の少額減価償却資産の特例(個人事業主も可能)
- 少額減価償却資産の特例とは、取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産を取得した際に、減価償却ではなく、取得した年に全額をまとめて費用計上できる特例制度。特例制度は、取得価額の合計額が300万円に達するまで適用できる
- 参考)「少額減価償却資産の特例とは?青色申告の節税制度を活用しよう」
- 参考)国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
- 事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要
- 国税庁「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の 特例制度」を適用する場合の明細書の添付について
- 簿記仕訳の例)23万円のパソコンを購入した場合
(仕事用銀行口座から引き落としの場合、仕事用クレジットカードの場合も同様)
【購入時】(借)備品 230,000 (貸)未払金 230,000
【引落時】(借)未払金 230,000 (貸)普通預金 230,000 (次の年の引き落としでも同じ)
【初年末】(借)減価償却費 230,000 (貸)備品 230,000
【次年末】少額減価償却済みなので、次年以降なし - 参考)
- ◎一括償却資産(個人事業主も可能)
- 一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の固定資産を取得した際に、減価償却せず、3年にわたって取得価額の3分の1の額ずつ費用として計上できる特例制度。法定耐用年数にかかわらず3年間で均等に費用化し、減価償却資産と異なり月割計算は不要。勘定科目は「一括償却資産」。
- 減価償却費の仕訳方法
- 直接法と間接法がある(どちらでもよい。個人事業主は、直接法が多い)
- 減価償却の会計処理
- 例)「軽自動車を新車で130万円で購入して固定資産とし、減価償却する場合」(10月26日から供用開始)。
- 固定資産の勘定科目は「車両運搬具」になる
- 軽自動車を新車購入だと、減価償却期間は4年、償却率は0.25
-
- 130万円 x 0.25 =325,000円
-
- 軽自動車を新車購入だと、減価償却期間は4年、償却率は0.25
- 10月26日から供用開始なので、初年は3ヶ月分(月単位)を減価償却費として計上。
- 【初年末】3ヶ月分を減価償却費として計上する
-
- 325,000円 x 3/12 = 81,250円
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- 【次年末以降】12ヶ月分の減価償却費 325,000 円
- 簿記仕訳の記入例は、以下。
1)現金で購入の場合
【購入時】(借)車両運搬具 1,300,000 (貸)現金 1,300,000
【初年末】(借)減価償却費 81,250 (貸)車両運搬具 81,250
【次年末】(借)減価償却費 325,000 (貸)車両運搬具 325,000
2)仕事用銀行口座から引き落としの場合(仕事用クレジットカードの場合も同様)
【購入時】(借)車両運搬具 1,300,000 (貸)未払金 1,300,000
【引落時】(借)未払金 1,300,000 (貸)普通預金 1,300,000
【初年末】(借)減価償却費 81,250 (貸)車両運搬具 81,250
【次年末】(借)減価償却費 325,000 (貸)車両運搬具 325,000
3)個人用銀行口座から引き落としの場合
【購入時】(借)車両運搬具 1,300,000 (貸)未払金 1,300,000
【引落時】(借)未払金 1,300,000 (貸)事業主借 1,300,000
【初年末】(借)減価償却費 81,250 (貸)車両運搬具 81,250
【次年末】(借)減価償却費 325,000 (貸)車両運搬具 325,000
- 【初年末】3ヶ月分を減価償却費として計上する
- この場合の、固定資産台帳の具体例
- 固定資産の勘定科目は「車両運搬具」になる
- 例)「軽自動車を新車で130万円で購入して固定資産とし、減価償却する場合」(10月26日から供用開始)。
- ◎中小企業の少額減価償却資産の特例(個人事業主も可能)
- 「減価償却とは?耐用年数や定率法・定額法の計算方法をわかりやすく解説」
参考)Geminiに質問した結果
- 「個人事業主が、個人用のお金で、仕事に使う新車を購入した。この仕事に使う車を固定資産に計上できるか?」
→ はい、固定資産として計上できます。
個人事業主が事業の用に供する新車を個人のお金(事業主借)で購入した場合でも、その車は事業用の固定資産(勘定科目:車両運搬具)として計上し、減価償却によって数年にわたって経費化することが可能です。 - 「固定資産の減価償却の初年は、取得価額の1年分を計上できるか。それとも供用開始からの月割りにする必要があるのか?」
→ 固定資産の減価償却の初年度の計上については、原則として供用開始からの月割りにする必要があります。- 減価償却費の初年度の計算月割り計算の原則:
- 固定資産を事業年度の途中で取得し、事業の用に供した場合、初年度の減価償却費は、その資産を事業の用に供した月から事業年度の末日までの期間に応じて月割りで計算します。
- 「事業の用に供した日」とは、その資産が本来の目的に従って使用を開始できる状態になった日を指します。
• 計算に際しては、月の途中で使用を開始した場合でも、その月全体を1ヶ月として数えます(日割り計算はしません)。
- 減価償却費の初年度の計算月割り計算の原則:
仕事用の車を購入する場合
仕事用の軽自動車を新車で購入する場合
- 購入した車を、仕事で使用する場合(ただし、移動手段として使用)、帳簿はどうする?
- 参考)事業用(お客を乗せて、利益を上げる)ではない。あくまでも個人所有だが、100%仕事に使う。
- 車を事業用車として購入することはできない。
- 事業用車とは、人や物を運んで、利益を得るもの。車検期間も短い。
- 個人事業主が買うのは、個人用車になる(保険も安くなる)。(維持費用の90%を按分すればよいかも。100%がいいけど)
- 購入費用、車検代、燃料費、自動車保険、駐車場代(自宅に停める場合も)その他すべてを経費で落としたい。
- 100%事業で使うので、仕事用のお金で車を購入する? それとも個人のお金で購入する?
- 個人事業主の場合、どちらのお金でも(仕事用でも個人用でも)よい。固定資産として減価償却する
- 車を事業用車として購入することはできない。
- 参考)事業用(お客を乗せて、利益を上げる)ではない。あくまでも個人所有だが、100%仕事に使う。
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- ある人に「買うのではなくて、リースが良い」と言われたが、もう購入の契約をしたのでどうにもならない。
- 「個人事業主の新車・中古車の経費はいくらまで?一括で経費にできる?減価償却を解説」
- 個人事業主が車関連の費用で経費にできるものの一覧と勘定科目が分かる
- 購入時に全額を一括で経費計上はできない
- 取得価額が30万円以上の車両は固定資産として登録し、法定耐用年数に応じて減価償却を行う必要がある
- 新車で軽自動車なら、法定耐用年数は、4年(新車で普通自動車なら、6年)
- 減価償却は、個人事業主は定額法でおこなう(定率法だと、届け出が必要になる)
- 「減価償却とは?耐用年数や定率法・定額法の計算方法をわかりやすく解説」
- 定額法による減価償却費 = 固定資産の取得価額× 定額法の償却率
- 固定資産の取得価額とは、対象の資産の取得に要した費用
- 定額法の償却率は、耐用年数4年だと、0.250 (「減価償却資産の償却率等表」から)
- 従って、耐用年数4年の資産を130万円で購入した場合、130万円に定額法の償却率0.250をかけ合わせると減価償却費は32.5万円です。つまり、4年間にわたり毎年32.5万円ずつ費用として計上することになります
- 参考)試しにつくってみた固定資産台帳
- 定額法による減価償却費 = 固定資産の取得価額× 定額法の償却率
- 「減価償却とは?耐用年数や定率法・定額法の計算方法をわかりやすく解説」
参考)