10m程度離れた建物(2地点)を無線LANでつなぐ具体例と考え方を記述。同じ敷地内にある、母屋と離れとの無線通信を想定する。
複数の候補案を示す。屋内用の法人向け無線LANアクセスポイント(WAPM、WAPS)を使用することを検討する。
10m離れた建物(母屋と離れなど2地点)を無線LANでつなぐ方法
前提条件2つ
- 複数の法人向け無線LANアクセスポイント(以下、「法人AP」と記す)の間を、リピーター機能(WDS,中継)を使用して通信する。
- 個人向けルーターや中継機は使用しない(個人向けは、屋内使用が前提)
- 理由)法人APの電波を、個人向け中継機を使用して中継することは、動作保証外
- 法人AP標準添付のアンテナを使用する(法人APに外部アンテナを接続することは考えない)
- 理由)10m程度なら、標準のアンテナで電波が届く距離である(機種に依るが、最大約20m~100mくらい届く)。
土地や使用形態の前提条件
- 建物(母屋X、離れA)間の距離は10m程度。
- 母屋Xにモデム(または ONUやホームゲートウェイ)がある。
- 母屋X、離れAで、無線子機(PCやスマホなど)でインターネットを見る。
想定する内容(価格はすべて定価です)
- 法人向け無線LANアクセスポイント(以下、「法人AP」と記す)は、以下を使用
- 屋内設置用の法人AP WAPM-1266R(¥39,800): 外付けの標準アンテナあり(別売りの屋外アンテナもある)
- 実勢価格は、¥29,000(価格.com)
- 屋内設置用の法人AP WAPS-1266(¥19,800): アンテナ内蔵
- 実勢価格は、¥16,000(価格.com)
- 屋内設置用の法人AP WAPM-1266R(¥39,800): 外付けの標準アンテナあり(別売りの屋外アンテナもある)
- 母屋Xと離れAに設置する法人AP間には、壁や窓があるが、法人AP間で無線は届く、と想定する。
- 法人APに外部アンテナを接続する場合には、
- 屋内設置用の法人APでも使用可能(WAPM-1266Rなど)
- 母屋Xには、法人APの上位にルーターを設置。
- 有線ルーターBHR-4GRV2(¥7,200)でよい。また、個人向けの無線LANルーター(WSR-2533DHP3など、WXRシリーズ)でもよい。
- 離れAで、複数の有線LANが必要なら、ハブを設置。
- ハブは、LSW4-GT-5EPL(¥2,550)など何でもよい
法人APを使用する場合の注意点
- 法人APへの電源供給 (ACアダプター または 給電機器(PSE) を使用)
- ACアダプターを使用するなら、以下が必要
- WLE-OP-AC12C (¥4,800)
- 給電機器(インジェクター または ビジネススイッチ)を使用するなら、以下が必要
- BIJ-POE-1P/G(802.3af 対応)(¥9,800)
- BIJ-POE-1P/HG(802.3af、802.3at 対応)(¥15,800)
- BS-GSL2005P(802.3af、802.3at 対応)(¥26,800)
- インジェクターを使用する場合には、
- WAPM-1266R(802.3at)なら、BIJ-POE-1P/HG
- WAPS-1266(802.3af)なら、BIJ-POE-1P/G か BIJ-POE-1P/HG
- インジェクターを使用する場合には、
- ACアダプターを使用するなら、以下が必要
- リピーター機能(WDS)の認証方式
- 法人AP間でリピーター機能(WDS)を使用する場合には、同じ認証方式の法人AP同士のみがWDS接続可能。
- 参考)「リピーター機能(WDS)に対応している無線LANアクセスポイントはどれですか」
- 屋内用のWAPM-1266R、WAPS-1266 は独自D方式
構成案は2つ
- 案1)母屋Xに法人APを設置。離れAには法人APを設置しない。
- 案2)母屋Xに法人APを設置。離れAには法人APを設置。
案 \ 場所 | 母屋X | 離れA | WAPS- 1266 届く距離 |
WAPM- 1266R 届く距離 |
---|---|---|---|---|
案1 | 法人AP | なし | 40m弱 | 100m弱 |
案2 | 法人AP | 法人AP | 40m | 100m |
提案としては、 案1)で先ず試して、電波が届かないようなら 案2)を試す のがお勧めです。
案1)法人APを母屋に1台設置
- 母屋Xには、屋内にWAPS-1266(またはWAPM-1266R)を設置
- 離れAには、法人APは設置せず、子機(PC、スマホやプリンタなど)のみを置く。
母屋X 【Modem】—【BHR-4GRV2】—【BIJ-POE-1P/HG】—【WAPS-1266】 (PoE使用時)
母屋X 【Modem】—【BHR-4GRV2】——【WAPS-1266】 (ACアダプタ使用時)
離れA 無線子機(PCやスマホ)のみ
考察)
- WAPS-1266は、標準アンテナで約40m電波が届く。
- 従って電波環境が良ければ、リピーター機能を使用しないで、離れAの子機まで電波が届く可能性がある。
- 有線ルーターBHR-4GRV2(¥7,200)の代わりに、個人向けの無線LANルーター(WSR-2533DHP3など)でもよい。
母屋X 【Modem】—【WSR-2533DHP3】—【BIJ-POE-1P/HG】—【WAPS-1266】 (PoE使用時)
母屋X 【Modem】—【WSR-2533DHP3】——【WAPS-1266】 (ACアダプタ使用時)
必要な機器)母屋Xのみでよい。機器により、3通り。
-
- 母屋Xで必要な製品は、3種類(ACアダプタ使用) (合計 ¥31,800)
製品 | 単価 | 必要数 | 合計 |
---|---|---|---|
無線LANアクセスポイント WAPS-1266 |
¥19,800 | 1 | ¥19,800 |
ACアダプター WLE-OP-AC12C |
¥4,800 | 1 | ¥4,800 |
有線ルーター BHR-4GRV2 |
¥7,200 | 1 | ¥7,200 |
-
- 母屋Xで必要な製品は、3種類(インジェクター使用) (合計 ¥42,800)
製品 | 単価 | 必要数 | 合計 |
---|---|---|---|
無線LANアクセスポイント WAPS-1266 |
¥19,800 | 1 | ¥19,800 |
インジェクター BIJ-POE-1P/HG |
¥15,800 | 1 | ¥15,800 |
有線ルーター BHR-4GRV2 |
¥7,200 | 1 | ¥7,200 |
-
- 母屋Xで必要な製品は、3種類(WAPM-1266R、ACアダプタ使用) (合計 ¥51,800)
製品 | 単価 | 必要数 | 合計 |
---|---|---|---|
無線LANアクセスポイント WAPM-1266R |
¥39,800 | 1 | ¥39,800 |
ACアダプター WLE-OP-AC12C |
¥4,800 | 1 | ¥4,800 |
有線ルーター BHR-4GRV2 |
¥7,200 | 1 | ¥7,200 |
案2)法人APを母屋Xと離れAに設置
- 母屋Xには、屋内にWAPS-1266(またはWAPM-1266R)を設置
- 離れAには、屋内にWAPS-1266(またはWAPM-1266R)を設置 (有線PCあり)
- 母屋Xと離れAとの間を、リピーター機能(WDS,中継)を使用して通信
母屋X 【Modem】—【BHR-4GRV2】——【WAPS-1266】 (ACアダプタ使用時)
離れA PC —【ハブ】——【WAPS-1266】 (有線PCある場合)
考察)
- 母屋Xと離れAとは、法人APのリピーター機能(WDS)でつなぐ
- 離れAの無線子機(PCやスマホなど)は、離れAの法人APと通信する
- 有線ルーターBHR-4GRV2(¥7,200)の代わりに、個人向けの無線LANルーター(WSR-2533DHP3など)でもよい。
母屋X 【Modem】—【WSR-2533DHP3】——【WAPS-1266】 (ACアダプタ使用時)
必要な機器)母屋Xと離れAに設置。
-
- 母屋Xで必要な製品は、3種類 (合計 ¥31,800)
製品 | 単価 | 必要数 | 合計 |
---|---|---|---|
無線LANアクセスポイント WAPS-1266 |
¥19,800 | 1 | ¥19,800 |
ACアダプター WLE-OP-AC12C |
¥4,800 | 1 | ¥4,800 |
有線ルーター BHR-4GRV2 |
¥7,200 | 1 | ¥7,200 |
-
- 離れAで必要な製品は、3種類 (合計 ¥27,150)
製品 | 単価 | 必要数 | 合計 |
---|---|---|---|
無線LANアクセスポイント WAPS-1266 |
¥19,800 | 1 | ¥19,800 |
ACアダプター WLE-OP-AC12C |
¥4,800 | 1 | ¥4,800 |
ハブ LSW4-GT-5EPL |
¥2,550 | 1 | ¥2,550 |
参考)購入するなら WAPM-1266R(Amazon) WLE-OP-AC12C(Amazon)
参考1)離れた建物を無線ネットワークでつなぐ方法の基本例
参考2)数m~50m離れた建物(3地点)を無線LANでつなぐなら、以下を参照
参考3)遠く離れた建物(3地点)を無線ネットワークでつなぐ方法
参考)リピーター機能