青色申告のやり方、複式簿記のつけ方、勘定科目、仕訳方法(個人事業主、フリーランスの場合)
青色申告のやり方、複式簿記のつけ方を具体的に説明。個人事業主(フリーランス)として青色申告したときのメリット(所得控除は最大65万円)や、会計アプリ「aoiro」の使い方、e-Tax(電子申告)の手順も説明。勘定科目の内容。
青色申告のやり方・複式簿記のつけ方
事前に税務署に提出(開業届、青色申告承認申請書)
- 青色申告するには、まず、開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出する必要がある
以下は、年内途中で開業した場合の例- 開業届
- 「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
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- 印刷して税務署にて提出が無難(パソコンからの提出には、カードリーダーが必要となるため)
- 例)開業届記入例
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- 「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
- 青色申告承認申請書
- 「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」
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- 印刷して税務署にて提出が無難(パソコンからの提出には、カードリーダーが必要となるため)
- 例)青色申告承認申請書記入例
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- 「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」
- 開業届
青色申告とは
- 「青色申告できる条件は?個人事業主やサラリーマンの副業の場合を解説」
- 確定申告の種類
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- 白色申告
- サラリーマンの確定申告(医療費控除・寄付金控除など)
- 所得控除なし
- 青色申告(簡易簿記) 所得控除10万円
- 青色申告(複式簿記) 所得控除55万円
- 青色申告(複式簿記)+電子申告 所得控除65万円
- 白色申告
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- 「青色申告(複式簿記)+電子申告」なら、最大65万円の所得控除がある
青色申告するメリット(所得控除、赤字繰越制度、専従者給与)3つ
メリット1)所得控除(65万円)
- 個人事業主が、青色申告すると所得控除(最大65万円)を受けることができる。
- 具体例)
- シルバー人材センターで「請負」「委任」の業務を請け負う会員は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称「フリーランス新法」)の適用を受ける「フリーランス」に該当する。つまり、「個人事業主」になることができる。
- 「個人事業主とは?フリーランスとの違い、メリットとデメリット、なり方をわかりやすく解説」
- 「個人事業主」は税務上の呼称で、「フリーランス」は働き方の一種
- 「フリーランス」が、開業届に必要事項を記入して税務署に提出すれば、「個人事業主」になれる
- 個人事業主が青色申告すると、所得控除を受けられる(所得税という税金を取られないで済む)
- シルバー人材センターの会員の、1年間の所得(収入ー経費)が
- 所得が10万円以上なら、青色申告(簡易簿記)すれば、10万円の所得控除を受けられる
- (所得に20%の所得税がかかると仮定すれば、2万円以上お得)
- 所得が55万円以上なら、青色申告(複式簿記)すれば、55万円の所得控除を受けられる
- (所得に20%の所得税がかかると仮定すれば、11万円以上お得。多分、20万円近くお得)
- 所得が65万円以上なら、青色申告(簡易簿記)+電子申告すれば、65万円の所得控除を受けられる
- (所得に20%の所得税がかかると仮定すれば、13万円以上お得。多分、20万円以上お得)
- 所得が10万円以上なら、青色申告(簡易簿記)すれば、10万円の所得控除を受けられる
- 「個人事業主とは?フリーランスとの違い、メリットとデメリット、なり方をわかりやすく解説」
- シルバー人材センターで「請負」「委任」の業務を請け負う会員は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称「フリーランス新法」)の適用を受ける「フリーランス」に該当する。つまり、「個人事業主」になることができる。
メリット2)赤字繰越制度
- 赤字が生じた年の翌年から、最大3年間繰り越しが可能
- 翌年以降に黒字(所得)が出た場合、繰り越した赤字と相殺(損益通算)することで、
その年の課税対象となる所得金額を減らし、結果として支払うべき税金を軽減することができる - 条件が2つ)青色申告者であること。毎年連続して確定申告していること。
- 翌年以降に黒字(所得)が出た場合、繰り越した赤字と相殺(損益通算)することで、
メリット3)専従者給与
- 「専従者給与(せんじゅうしゃきゅうよ)」とは、個人事業主が生計を一つにしている配偶者や親族(家族従業員)に支払う給与のこと。
- 経費算入額
- 事前に税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、
- その届出書の範囲内で実際に支払った給与額の全額を経費にできる
- 要件
- 生計を一にする配偶者その他の親族である
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上である
- その年を通じて6か月を超える期間、事業に専ら従事している(専従している)
- 給与額が労務の対価として相当であると認められる金額である
- 注意)専従者として給与を受け取る人は、配偶者控除や扶養控除の対象にはなれない
- 参考)
- 経費算入額
複式簿記の考え方
YouTube「【超簡単】複式簿記の借方貸方の覚え方【公認会計士】日商簿記/簿記検定」:分かりやすい
YouTube「【複式簿記】フリーランスの帳簿の付け方の全体像を把握しよう!by 女性税理士」
借方・貸方の考え方2つ
- 財源イメージ
- 借方=いまあるもの 貸方=その出所
- 例)現金20万円を出資して開業した
- 借方=現金20万円 貸方=資本金20万円
- 借方=いまあるもの 貸方=その出所
- 等価交換イメージ
- 借方=(借りて)入ってきた、増えた、得られた 貸方=(貸して)出て行った、減った、失われた
- 例)50万円の商品を仕入れ、代金は現金払いとした
- 借方=商品50万円 貸方=現金50万円
- 借方=(借りて)入ってきた、増えた、得られた 貸方=(貸して)出て行った、減った、失われた
費用は借方、収益は貸方
- 等価交換にならない取引がある
- 便益として消費された=【費用】
- 例)電話料金5,000円を現金で払った
- 借方=通信費5,000円 貸方=現金5,000円
- 対価なしで済んだ=【収益】
- 例)50万円で仕入れた商品が80万円(現金)で売れた
- 借方=現金80万円 貸方=商品50万円、商品売却益30万円
- 便益として消費された=【費用】
仕訳と勘定記入
- 仕訳=お金やモノが動く”取引”を借方/貸方に整理すること
- 勘定記入=仕訳した内容を各勘定科目ごとの勘定口座に記入すること
基本的な仕訳方法の例(お金が出ていく取引の仕訳(仕入れ・経費支払い))
- 7月10日 商品¥10,000を仕入れ、
代金のうち¥3,000を現金で支払い、残額は掛けとした
| (借)仕入 | 10,000 | (貸)現金 | 3,000 |
| 買掛金 | 7,000 |
-
- 8月30日 買掛金¥7,000を普通預金口座から振り込んだ
| (借)買掛金 | 7,000 | (貸)普通預金 | 7,000 |
- 7月10日 備品¥10,000を購入し、代金を現金で支払った
| (借)備品 | 10,000 | (貸)現金 | 10,000 |
- 7月10日 備品¥10,000を購入し、代金は翌月末日 現金払いとした
7/10 (借)備品 10,000 (貸)未払金 10,000 8/31 (借)未払金 10,000 (貸)現金 10,000 - 10月1日 ガソリン代¥5,000を、事業用クレジットカードで購入し、10/26に事業用普通預金から引き落とされた
10/1 (借)燃料費 5,000 (貸)未払金 5,000 10/26 (借)未払金 5,000 (貸)普通預金 5,000 - (事業用クレジットの支払日には、未払金がまとめて引き落とされる)
- 毎月、反復される定期的な経費であれば、事業用クレジットカードの引き落し日だけの簡便な仕訳でも良い
(借)通信費 8,000 (貸)普通預金 8,000 - 事務所の電話料金¥10,000が、事業用普通預金から引き落とされた
(借)通信費 10,000 (貸)普通預金 10,000 - 郵便局で事業用の郵便切手¥920購入し、事業主が立て替えた
(借)通信費 920 (貸)事業主借 920 - 事業預貯金への利息 : 事業用の普通預金口座に普通預金利息¥20がついた
(借)普通預金 20 (貸)事業主借 20 - (利子所得であって、事業所得ではない)
- 事業主が事業用の資金を追加で入れた場合
事業主が、事業用資金として、事業用普通預金口座に追加で¥10,000入金した(借)普通預金 10,000 (貸)事業主借 10,000 - (元入金ではダメ。期首と期末の元入金(資本金にあたる)は、同額である必要あるため)
- 事業用の資金から家計に生活資金を引き出した場合
事業用資金から生活費として現金¥250,000を引き出した(借)事業主貸 250,000 (貸)現金 250,000 - (元入金ではダメ。期首と期末の元入金(資本金にあたる)は、同額である必要あるため)
基本的な仕訳方法の例(お金が入ってくる取引の仕訳(売上))
- 7月20日 商品¥10,000を、¥15,000で販売し、
代金は現金で受け取った(借)現金 15,000 (貸)売上 15,000 - 収益は、この時点では記入しない。最後にまとめて、総売上額ー総仕入額で出すのが一般的。
- 7月20日 商品¥10,000を、¥15,000で販売し、
代金は翌月末日回収とした(代金は掛けとした)(借)売掛金 15,000 (貸)売上 15,000 - 8月30日 売掛金¥15,000が事業用普通預金口座に振り込まれた
(借)普通預金 15,000 (貸)売掛金 15,000
- 8月30日 売掛金¥15,000が事業用普通預金口座に振り込まれた
勘定科目の一覧と具体例
- 雑所得
- 公的年金等については、「雑所得」として課税の対象となる
- 「個人事業主の年金受給者は確定申告が必要?青色申告がおすすめのケースは?還付申告についても解説」
- 雑収入
- WEBサイトからのアフィリエイトの勘定科目は、「雑収入」
- 通信費
- 新聞代(地域のイベント情報) 1/2 (家事按分50%)
- CATV代(地域のイベント情報) 1/2
- インターネット通信費 1/2
- NETFLIX代金(投稿ネタに使用) 1/2
- スマホ通信費 1/2
- NHK受信料(地域のイベント情報) 1/2
- XServerのサーバー使用料金 2/2
- XServerのサーバーURL使用料金 2/2
- ATOKのサブスクリプション(毎月)
- 交通費
- 電車代、バス代 2/2
- 高速料金 2/2
- 燃料費(個人用車を10月まで家事按分50%で使用。10月購入の仕事用車もあるので、明確にするために設けた)
- 個人用車のガソリン代 1/2(8月~10月まで)
- 仕事用車のガソリン代 2/2(10月に購入、供用開始)
- 原付自転車のガソリン代・オイル代 2/2(原付は、仕事場に駐車場がない時に通勤用)
- 車両費
- 駐車場代
- 取材費
- 入場料(美術館や映画館)
- 図録代
- 水道光熱費
- 電気代 1/2(自宅を仕事場にする場合も可能。家事按分50%とした)
- (ガス代、水道代は、経費にできない場合が多い)
- 研修費
- UDEMYの受講代
- 本代(WEBへの投稿のネタ探しのために読む)
- 仕事用の車の車検代の勘定科目
- 法定費用(租税公課、保険料)と整備費用(車両費、修繕費、支払手数料)に分けて仕訳するのが一般的。
- 自動車重量税や印紙代は租税公課
- 自賠責保険料は保険料
- 車検基本料や部品代、整備費用は車両費または修繕費、
- 代行手数料は支払手数料
- 法定費用(租税公課、保険料)と整備費用(車両費、修繕費、支払手数料)に分けて仕訳するのが一般的。
その他資料
- 「YouTube 記帳・決算のしかた」 ← いまいち、分かりにくい
事業主貸・事業主借
- 事業用と個人用の、各普通預金と各クレジットカードがある場合の使い分けと仕訳、勘定科目
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- 事業用普通預金、そこから引き落とす事業用クリジットカード
- 個人用(生活用)普通預金、そこから引き落とす個人用クリジットカード
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- 経費(備品)を個人用クレジットカードから使った場合、事業主が立て替えた、と考えるので「事業主借」とする
- 【疑問】その場合の、勘定科目や帳簿への記入の仕方はどうするのか?
→ 【結論】 以下の案1)で良い。- 案1)個人用クレジットカードを使った日7/20だけを記入する。引き落としは気にしない。
- 7/20 (借)備品費 ¥3,000 (貸)事業主借 ¥3,000
- 案2)個人用クレジットカードと紐付いた個人普通預金から引き落とされた日8/25だけを記入する
- 8/25 (借)備品費 ¥3,000 (貸)事業主借 ¥3,000
- 案3)個人用クレジットカードを使用した日7/20に記入し、かつ個人普通預金から引き落とされた日8/25も記入する
- 7/20 (借)備品費 ¥3,000 (貸)未払金 ¥3,000
- 8/25 (借)未払金 ¥3,000 (貸)事業主借 ¥3,000
- 案1)個人用クレジットカードを使った日7/20だけを記入する。引き落としは気にしない。
- 参考)事業用クレジットカードを使い事業用普通預金から引き落としされる場合(「事業主借」ではない)
- 7/20 (借)備品費 ¥3,000 (貸)未払金 ¥3,000
- 8/25 (借)未払金 ¥3,000 (貸)普通預金 ¥3,000
- 【疑問】その場合の、勘定科目や帳簿への記入の仕方はどうするのか?
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- 事業主貸と事業主借
- 「事業主貸と事業主借を正しく使い分けるには?仕訳例でわかりやすく解説!」
- 事業主貸
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意味: 事業用のお金を、個人の生活費や個人的な支出(例:所得税、住民税、国民健康保険料など)に充てた場合に使う勘定科目
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考え方: 個人事業主が「事業用のお金をプライベートに貸した」と考える
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例: 事業用口座から生活費として現金を引出した場合。 事業に関係ない所得税や住民税を納税した場合。
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- 事業主借
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意味: 個人の資金を、事業の資金が不足している場合に投入したり、事業で使う物品などを個人的なクレジットカードで支払ったりした場合に使う勘定科目
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考え方: 事業主が「事業からお金を借りた」と考える
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例: 不足した事業資金を個人の貯金から事業用口座に入金した場合。
個人の現金や個人用クレジットカードで事業用の備品を購入した場合
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固定資産と減価償却の会計処理
個人所有の株式の譲渡損益、雑所得、医療費控除、寄付金控除などの場合
- 仕事や事業とは関係ないので、所得税の確定申告時に行う
- (事業の青色申告をしてから、それとは別に行う。e-Taxでも、入口が別になっている)
e-Tax(電子申告)で青色申告する具体的な手順・方法(個人事業主・フリーランス)
- 「YouTube【初心者必見】青色申告をe-taxで!実際の画面で入力手順を解説します」 (前半)←分かりやすいです。
- 「YouTube【初心者必見】e-Taxで確定申告4枚目「賃借対照表」を入力する手順」(後半)←分かりやすいです。
会計アプリ「aoiroアオイロ 」の使い方
- 「aoiroアオイロ 」とは、青色申告に必要な 最小限の帳簿 と 決算書 を簡単に作成できる無料の会計ソフト
- 64ビット版Windows10/11、macOS Sierra 10.12 以降 に対応
- 余計な機能はなくて、シンプル
- 電子帳簿保存法に対応
- 仕訳を入力するだけで良い(簿記が分からなくても良い)





